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源義経との恋を引き裂かれた悲劇のヒロイン・静御前。その職業「白拍子」とは?

源義経との恋を引き裂かれた悲劇のヒロイン・静御前。その職業「白拍子」とは?:2ページ目

エピローグ

吉野山 峰の白雪 ふみわけて
入りにし人の 跡ぞ恋しき

【意訳】吉野山に積もる雪を踏み分けながら行ってしまった彼を追って行きたい……。

さて、冒頭の静御前に話を戻すと、謀叛人を慕う唄で宴席は白けてしまい、頼朝公はカンカンです。

「おのれ、我が面と向かって謀叛人を慕うとは、その方も一味として処断してくれようぞ!」

「元より覚悟……かくなる上は、先に九郎(義経)様をお待ちしとうございまする」

「よぅ吐(ぬ)かした、覚悟せぃ!」

さぁ叩っ斬られるぞ……誰もがそう思ったところへ、割って入ったのは頼朝公の正室・北条政子(ほうじょう まさこ)。

「お待ち下され……静どのの想いは貞女(貞節な女性)の鑑(かがみ)。もしも一時の咎を恐れて伴侶を見捨てるようなことがあれば、心ある女子(おなご)どもの笑い者となりましょう」

「……むぅ」

「かく言うわたくしにしても、かつて一介の流罪人に過ぎなかったあなたの元へ、吹き荒れる雨風の中を駆けつけたのをお忘れでしょうか。それともあなたは、わたくしがあなたを見捨てるべきであったと仰せなのでしょうか?」

「むむむ……」

「何がむむむですか。我が意に染まぬ者が面白くない気持ちも解らなくはありませぬが、ここは私情をおいて静どのをご称讃あそばすべきです」

「……相分かった。追って褒美をとらせる故、下がれ!」

「ははぁ。しからばこれにて」

その後、静御前は歴史の表舞台から姿を消し(身ごもっていた義経の男児は殺され)、この世で義経と再会することはありませんでしたが、せめてあちらでは親子三人で幸せになって欲しいものです。

※参考文献:
永原慶二 監修『新版 全譯 吾妻鏡』新人物往来社、2011年11月
杉本圭三郎 訳『新版 平家物語 全訳注』講談社学術文庫、2017年4月
谷川健一『賤民の異神と芸能』河出書房新社、2009年6月

 

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