美味すぎ注意!かつて禁止令まで出された東北の御法度?郷土料理「はっと」を紹介:2ページ目
一、他の料理名が訛った説
その一方で、既に存在した別の料理が訛って「はっと」と呼ばれるようになったという説もあります。
例えば甲州名物「ほうとう」。広く北奥州を支配した南部(なんぶ)氏は甲州(現:山梨県)の発祥であり、彼らの祖先が東北に持ち込んだ「ほうとう」が訛って「はっと」と呼ばれるようになったとも考えられています(が、説としてはちょっとキツそうです)。
また、平安期に「薄飩(はっとん)」というお菓子があったそうで、その字面から薄くのばした生地(飩)を加熱したものと考えられますが、その語尾「ん」が落っこちて「はっと」となったと言う説もあります。
こうして見ると、「ほうとう」説はともかく「はっとん」説はそれらしく聞こえますが、やはり「御法度」説に感じられる庶民生活のリアリティに比べると、説得力では今一つのように思えてしまいますが、どうでしょうか。
とても簡単!「はっと」の作り方(一例)
ここまで紹介してきて「そんなに美味いものなのか」と思われた方もいるかも知れませんが、作り方はとても簡単なので、是非ともお試し頂きたいと思います。
地方や家庭によって千差万別のレシピをすべて紹介することは出来ませんから、ここではごくシンプルな「はっと」の作り方を紹介します。
一、小麦粉を水でこねる(固さはうどん生地くらいが扱いやすい)
一、平たくのばした生地を、小さく(指3本くらいで)ちぎって茹でる
一、味付けは鶏出汁がベース
一、後は好きな具材と煮込んで完成
うどんのようにコシが出るまでよく打って、麺棒で薄くのばすと出汁に調和して旨味が引き立ちます。
食感はワンタンの皮みたいですが、それを鶏出汁で煮込む点に、小麦をこねて煮たすいとん(たいてい味噌仕立て)とは違った「東北感」が味わえました。
シンプルだけど、だからこそこの上なく美味い「はっと」。ネーミングの真相は今後の研究を俟(ま)たねばなりませんが、お上に隠れて作り続けた「はっと」の味は、庶民にとってこの上ない楽しみだったことでしょう。
※参考:
「登米はっと」の由来-宮城県公式ウェブサイト
東北|ご当地粉料理カタログ|こむぎ粉くらぶ