「おこしやす」彼女は芸者?それとも芸子?あるいは芸妓?それぞれの違い:2ページ目
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芸妓(げいぎ)
つまり「芸者」と「芸子」の違いは「どっちも同じもので、上方(芸子)と江戸(芸者)で呼び方が違うだけ」なのですが、これらを総称する概念として「芸妓」という漢語も存在します。
ちなみに、芸妓を「げいこ」と読むのはいわば変則で、明治以来、東京を通じて国際社会との交流が進んだ結果、上方の芸子たちもひとくくりに「芸者」と呼ばれるようになったことを快く思わない(たぶん、上方の)方が関東・関西を問わず通用する芸妓にそうルビを振るようになったそうです。
ただし「妓」という字は部首の通り女性を意味するため、中世以前の男芸者についてはその対象外となっています。念のため。
まとめ
芸者(げいしゃ)
江戸での呼び方。元は男性を指したが、江戸中期以降は女性が主流となった。
芸子(げいこ)
上方での呼び方。男性の芸者に対する女性の同職を意味するが、国際的には「Geisha」に押され、あまり定着していない様子。
芸妓(げいぎ)
芸者&芸子を包括するが、男性(芸者)は含まれない。上方では「げいこ」とルビを振る傾向が強い。
※補足として「舞子(まいこ。舞妓)」という言葉は芸子から派生しているようです。
「Oh,Geisha-Girl!(わぁい、芸者ガールだ!)」
「No,She’s”Geiko”(いいえ、彼女は芸子です)」
……わざわざそんなツッコミを入れる野暮な上方者もいないでしょうが、もし彼女たちを目にする機会に恵まれましたら、ちょっと意識してあげるといいかも知れませんね。
※参考文献:井上章一『京都ぎらい』朝日新書、2015年10月10日 第2刷
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