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NHK大河ドラマ「いだてん 東京オリムピック噺」振り返り 悲劇と喜劇は紙一重。失敗の物語には落語が必要だった「いだてん」第44話振り返り

悲劇と喜劇は紙一重。失敗の物語には落語が必要だった「いだてん」第44話振り返り:2ページ目

失敗の物語と落語

まーちゃんの失敗は高橋是清に直談判したところから始まっていました。また、この作品に描かれた失敗はそれだけではありません。語り手である志ん生は数えきれないくらい失敗していますし、作品中盤で描かれた戦争も大きな失敗です。

そして、「いだてん」の語りとして大きな役割を担っている落語こそ、涙あり笑いありのオチがある芸能です。登場人物は何かしら失敗して、それが笑いになったり、ときには感動させられたりする。「いだてん」の主人公たちは、落語と同じように失敗からまた何かを見つけ、立ち上がるのです。

また、チャーリー・チャップリンの名言に「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」というものがありますが、まさにまーちゃんの人生がそれなのかもしれません。

オリンピックに人生をかけてきたのに、不本意にも解任させられることになったまーちゃんは、彼に寄り添ってみる分には悲劇です。しかし、テレビで会見を見ている今松は大爆笑。誰かにとっての悲劇は、他者から見れば喜劇。皮肉っぽく面白い演出でした。悲劇と喜劇は紙一重で、落語の面白さのひとつはそういうところにあるのかもしれません。

 

 

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