美人と結婚したら蛇だった!日本神話に伝わる蛇姫との婚姻エピソードが示す歴史とは:3ページ目
大和と出雲との関わり
本牟都和気命と肥長比売の話は、古事記に短い文面があるのみです。どういった意図でこの話が差し込まれたのかは分かりませんが、名前の共通点からも、肥長比売は肥河の化身だったのではないでしょうか。
つまり、肥長比売は「水神」だと考えられます。蛇や龍は水神の象徴ですからね。そして出雲大社には「蛇は神の使い」という信仰があることも、興味深いと言えるでしょう。
このエピソードでは、大和朝廷の血筋である天皇家が、出雲大神から祟りをかけられた挙句に宮を作ることになっています。ここで気になるのは、大和朝廷が古代に栄えたとされる出雲朝廷を闇に葬ったという説があることです。
さすがに無関係の皇子に祟りをかけたりはしないでしょうから、このエピソードは大和と出雲との間に深い関わりがあることを示しているのではないでしょうか。
本牟都和気命が言葉を話せなかったことも、蛇姫との婚姻も、出雲の「何か」が作用したとは考えられないでしょうか。そしてこのエピソードを古事記に入れることで、歴史に出雲の存在を知らせようとしたのかもしれません。
参考サイト:古事記、全文検索