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謎多き父、「鏡王」
「日本書紀」によると、「鏡王の娘で大海人皇子(おおあまのおうじ)に嫁し十市皇女(とおちのひめみこ)を生む」と紹介されています。しかし父とされる「鏡王」という人物も、「日本書紀」以外の史料にその名前や存在を示すものがないため、謎の人物とされているのです。
一説には宣化天皇の曾孫であるとか、近江国野洲郡鏡里の豪族であるなどと言われていますが、今のところ確実な資料は見つかっていないようです。したがって鏡王については、「王」という称号から皇族から2~5世離れた王族であると推測されるにとどまっています。
19歳で大海人皇子に嫁す
そんな謎多き鏡王の娘である額田王は、16歳ごろで宮廷に出仕し、皇極天皇に歌の才能を買われ、専属の歌人となります。この皇極天皇こそ、のちに夫となる大海人皇子の母でした。
皇極天皇はよほど額田王を気に入ったとみえ、「日本書紀」にある通り、二番目の息子である大海人皇子(のちの天武天皇)が16歳で元服するとすぐに、額田王を妃にしたのです。この時額田王は19歳。大海人皇子より3歳年上でした。
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