何て読むの?馬の神様?珍しい石碑「馬櫪神」にはどのようなご利益があるのでしょうか:2ページ目
2ページ目: 1 2
これまた調べてみると、どうやらこの神様は「ばれきじん」とストレートに読むそうで、馬櫪とは飼葉桶、転じて厩(うまや。馬小屋)を表わし、馬の守護神ということでした。
その姿は葛飾北斎『北斎漫画』などに描かれており、馬に乗り、大陸風の甲冑をまとった六本腕の武将が、一対の腕で両刀を交叉に構え、もう一対の右手に鶺鴒(セキレイ。鳥の一種)、左手に猿をそれぞれ携え、最後の両腕で手綱を握る雄姿が印象的です。
は馬にたかる蚋(ぶよ)などの害虫を食べてくれ、猿は古くから馬と相性がよく、その世話をするとして、共に古くから馬の守り神として信仰されたことから、馬櫪神のお使いとして傍に仕えているようです。
絵の作者によっては四本腕などのバージョンもありましたが、鶺鴒と猿を従えている点は共通していました。
まとめ
馬櫪神の信仰が大陸から日本に伝来した時期には諸説ありますが、全国に駅伝制が布かれ始めた7~8世紀ごろに広まったようで、街道沿いや宿場街など、馬を盛んに用いた地域で多く祀られている傾向が見られます。
(※ただし、現存している石碑は近代以降のものが多く、どういう形で信仰が継承されてきたのかなど、未解明の部分を多く残しています)
かつて馬が人間の生活に密着し、パートナーとして共生していた歴史の縁(よすが)として、今も石碑が各地に佇んでいます。
※参考文献:
柳田國男『山島民譚集』東洋文庫、昭和四十四1969年5月5日
柳田國男『年中行事覚書』講談社学術文庫、昭和五十二1977年3月8日
南方熊楠『南方熊楠全集第二卷〔十二支考Ⅱ〕』昭和二十六1951年11月25日
ページ: 1 2