伝説の美しき遊女・地獄太夫。人々に愛された地獄太夫と一休禅師が与えた影響[中編]:2ページ目
民衆に愛された“地獄太夫”
伝説の遊女である“地獄太夫”と、“一休宗純禅師”はともに室町時代の人であるにも関わらず、江戸時代に栄えた町人文化の中で大人気を博しました。多くの読本や歌舞伎で取り上げられ、浮世絵に描かれることとなりました。
この絵は“地獄太夫”を演じる歌舞伎役者・坂東彦三郎の役者絵ですが、地獄太夫独特の地獄変相が描かれた打掛ではありません。坂東彦三郎の替紋である“結び八重片喰(むすびやえかたばみ)”の紋が散りばめられています。
それにしても凄い目力。あくまでも“坂東彦三郎”をアピールすることを国貞も注文されたのかもしれません。この五代目坂東彦三郎は「名人彦三郎」と呼ばれる名優で、当時大人気の役者だったのです。そしてそんな役者が“地獄太夫”を演じたのです。