伝説の美しき遊女・地獄太夫。人々に愛された地獄太夫と一休禅師が与えた影響[後編]:2ページ目
この絵は掛け軸に描かれた絵です。地獄にあるという浄破瑠鏡という鏡に映る地獄太夫を、閻魔大王はなにか愛情溢れる、面白そうなものでも見るような目で見ています。
“これが噂に聞く地獄太夫という者かとでもいうように”。浄破瑠鏡は亡者の生前の悪い行いが映し出されるもので、それを見て閻魔大王は亡者の罪の重さを判断します。閻魔大王を穏やかに見上げる地獄太夫。この二人の姿を見ていると、なんだか温かい気持ちになるのは筆者だけでしょうか。
“伝説の美しき遊女・地獄太夫。人々に愛された地獄太夫と一休禅師が与えた影響[前編]”に掲載した暁斎の作品“地獄太夫と一休”では、一休禅師はなんと骸骨の頭の上に乗って陽気に踊っています。
河鍋暁斎は、新政府の役人を風刺する絵を描いて投獄された“反骨の人”であり、自らを“画鬼”と称した歌舞伎絵師です。一休禅師と同じく、権力を振りかざして形骸化されるものを嫌い、地獄太夫のように悟りを求め、そして人々の気持を和ませるユーモアの人であったのかもしれません。