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江戸時代、大奥にあった「開かずの間」の怪談。5代将軍・徳川綱吉に付き纏う死の噂とは?

江戸時代、大奥にあった「開かずの間」の怪談。5代将軍・徳川綱吉に付き纏う死の噂とは?

語られる「開かずの間」の怪談

この宇治の間に関する噂には、綱吉だけでなく家慶にまつわる怪談めいた話もあります。

12代将軍の家慶は、この宇治の間の前を通りかかったときに黒紋付の老女を見かけたそうです。お付きの者に、「あの老女は何者だ」と尋ねたときにはすでに老女の姿はありません。

そうして家慶はその後まもなく亡くなったと囁かれているのです。この世の者ではない存在を見てしまったため、家慶は亡くなってしまったのでしょうか。

ちなみに家慶が見た黒紋付の老女は、信子が綱吉を殺したときに手伝った女中だと言われています。そのため、何か凶事がある際には、黒紋付の老女が現れるという噂が大奥で広がったのです。

この話は明治生まれの江戸文化の研究家である三田村 鳶魚(みたむら えんぎょ)が、著書「御殿女中」に「宇治の間の怪」として記しています。

「御殿女中」は、大奥で働いていた女中たちから聞き取った話を鳶魚がまとめた書物です。鳶魚が活動していた当時は大奥の女中たちがまだ存命だったため、話を集めやすかったのでしょう。

3ページ目 三田村 鳶魚が聞いた女中の話

 

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