かつて炭鉱として賑わった人工の無人島・軍艦島、世界文化遺産に推薦へ
富士山が世界文化遺産に登録されたのも記憶に新しいところですが、日本政府はさらに「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」登録をユネスコへ推薦する方針を固めたそうです。
世界文化遺産:「明治日本の産業革命遺産」を推薦へ – 毎日新聞
「産業革命遺産」は、大牟田市の三池港をはじめ、炭鉱・製鉄・造船など日本の工業化に大きく貢献した北九州周辺の関連資産28件で構成されます。中でも最も有名で、最も視覚的にもインパクトを放ってるのが、長崎市の端島でしょう。端島。そう、通称「軍艦島」で知られる、あの無人島です。
海底炭鉱の採掘のために作られた人工島・軍艦島。海から見た時の姿がまるで軍艦であることから、そんな通称がつきました。日本初の鉄筋コンクリートの集合住宅が建ち、娯楽も含め全ての生活を島内で完結することができ、全盛期には東京以上の人口密度を誇ったという、ある意味、夢の島です。が、エネルギーの主役が石炭から石油へ以降した途端、鉱山は閉山し、人口も激減。遂には無人島となり、ある意味、本当に夢の島となってしまいました。
長らくほったらかしにされ、廃墟マニアの間でだけ「夢の島」だった軍艦島が、ツアーで一般の人も上陸できるようになったのは、最近のこと。私は一度この島を訪れたことがありますが、その時はまだ上陸が許可されませんでした。しかし、船で周囲を回るだけでも、その異様さは体感できます。面白いわけでもなく、楽しいわけでもなく、悲しいわけでもなく、つらいわけでもない。ほぼ何の感情も喚起しないのに、インパクトだけは異常に強烈なのです。
先人の夢の残骸は、そうそう後世に残るものではありません。積極的に保存するべきかどうかは議論が分かれるところかも知れませんが、あの無人島が放つわけのわからんインパクトは多くの人に経験してほしいとも思います。世界遺産登録、どうなるんでしょう。決まる前に、ビルが全部自然崩壊したりして。
端島 (長崎県) – Wikipedia