なんと取り直し3回!大相撲 伝説のうっちゃり勝負の微妙な行方は!?
「同体」なら「取り直し」もある!相撲の判定の決まり
相撲の勝敗が微妙な場合でも、取り組みを裁く行事は必ず東西どちらかに軍配を上げなければなりません。力士が土俵に落ちる、または土俵を割るのが同時の「同体」となった場合、「同体」という軍配は上げられないため、その判定に対し審判委員が異議申し立てをする「物言い」がつくことがよくあります。
「物言い」がつくと、審判委員たちが土俵上に上がって協議を行い、「同体」と確認された場合には再度取り組みを行う「取り直し」をする旨が、審判長より会場にアナウンスされます。
この「物言い」がなんと3回もつき、合計4回も相撲を取った挙げ句ようやく勝敗がついた取り組みが、過去に存在しました。
霧島 対 水戸泉戦
「うっちゃり4連戦」と言われ語り継がれることになったその取り組みとは、昭和63(1988)年5月場所の初日の、当時前頭7枚目の霧島と、同8枚目の水戸泉の対戦です。
1回目の取り組みでは「寄り倒し」で水戸泉の勝ち・・・かと思いきや、土俵際での霧島の「うっちゃり」により、同時に落下。「物言い」がつき、この取り組みは「取り直し」となりました。
2回目の取り組みでは、「寄り切り」を仕掛けた霧島に対して今度は水戸泉が土俵際で「うっちゃり」。力士でなかったら2人とも大怪我でも不思議ではないような体勢で土俵下まで落下した挙句、霧島に軍配が上がったものの再度「物言い」がつき「取り直し」。
3回目の取り組みは、「寄り切り」で水戸泉の勝ち・・・と思いきや、なんとまた土俵際で霧島が「うっちゃり」!軍配は霧島に上がったものの、これまた「物言い」がつき、「取り直し」に。
そしてまさかの4回目!霧島は土俵際で「うっちゃり」を仕掛けましたが、さすがにこの日4回目の相撲で疲れも出たのか若干早く落ちてしまい、水戸泉の勝ちとなりました。
会場のお客さんたちも、滅多にない3回もの「取り直し」に沸いている様子が、VTRからも見て取れますね。
後に霧島はTV番組で・・・
後に、BS JAPANの「語る!大相撲名勝負列伝 平成27年初場所スペシャル!」に元大関・霧島の陸奥親方が出演した際に、この取り組みが親方の「思い出の一番」として取り上げられました。
スローモーションの映像を見た陸奥親方が「(自分が)勝ってるな~」と言って出演者を笑わせるワンシーンもありましたが、実は親方はこの日この取り組みで負けたのが悔しくて、4回も相撲を取って疲れていたにも関わらず、その後ジムへ行ってトレーニングをされていたとのことです。
いくら日頃から鍛えている力士たちとはいえ、瞬発力勝負の相撲の取り直しを何度もするのは、さすがに厳しいものがあります。
元・霧島関(陸奥親方)、元・水戸泉関(錦戸親方)、本当にお疲れさまでした!