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昭和100年の今、読み返す”子供の科学”!『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』が発売

昭和100年の今、読み返す”子供の科学”!『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』が発売

昨年刊行された『子供の科学完全読本』の続編となる、『子供の科学完全読本 高度経済成長期編』が発売されます。

前作は大正から終戦まででしたが、今回は主に高度経済成長期が舞台。引き続き小飼弾氏が膨大なバックナンバーを読み直しながら、今につながる科学技術史を紐解きます。

誌面は朝鮮戦争からスタート。冷戦、そしてその代理戦争とも言える宇宙開発競争が前半の主役です。最新の科学技術を紹介することが同時に、緊迫する世界情勢を追いかけることになっていた、当時の空気が手に取るようにわかります。

実現できない科学もある未来

高度経済成長期の象徴、東海道新幹線の開通については、想像通り、豊富な図解で何度も特集されています。当時の読者がどれほど期待し、ワクワクしてその記事を読んでいたであろうかとページをめくると、「次はリニアだ!」の文字が。これまたすぐにでも実現しそうな勢いで、「時速500km!」とその技術を解説しています。

大人になったらきっとリニアモータカーに乗っているだろうと信じる読者の顔が目に浮かびますね。電気自動車や自動運転の記事などにも同じ思いを抱くことになります。

イケイケドンドンな時代が描いた未来予想は、実際の未来とは少し違っているものの、しっかり今と地続きなのだとわかる興味深いテーマが次々登場するのがこの本の魅力です。現代の科学技術史をおさらいするにはぴったりでしょう。

通信の発達で大人は「週休三日」になるという記事には、別の思いが湧くかもしれません。技術がクリアしても越えられない人間側の都合を痛感するのも、未来人が答え合わせする醍醐味といえます。

科学が解決した問題に気づいて前向きになれる

未来予想はワクワクするだけではありません。豊かさの裏側で当時問題になっていた公害や石油危機、交通戦争などにも『子供の科学』はページを割いていました。「子供の頃の社会にはどんよりとしたイメージもある」と語る小飼氏が振り返る記事には「自動車の排気ガス」「光化学スモッグ」「東京湾の悪臭、ヘドロ」などの単語が頻出。このままだと都心に人が住めなくなる、と専門家が警鐘を鳴らす記事が並びます。

今現在都心に住んでいる著者は、「快晴の日に富士山も見える、と、当時の読者に言ったら信じてもらえるだろうか」としながら、科学で解決できたこともある今に思いを馳せます。少し前向きになれる、ハズレた未来予測ですね。

本書の付録電子書籍はズバリ「2003年未来の生活」特集。1983年に特集された21世紀の未来予測がまるまる読めるようになっています。アタリとハズレを確認してみてください。

「子供の科学完全読本 高度経済成長期編」は2025年8月8日(金)に発売されます。

 

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