日本で古くから語り継がれてきた”人間と動物が結婚してしまう系”の説話「異類婚姻譚」とは?
日本には古来から神話や童話など様々な物語が存在し、時代の流れの中で改変や脚色を加えられながら受け継がれてきた。その内容は、突拍子のないものやおよそ現実の話とは思えないような妄想話まで実に様々だ。
今回は、そんな個性的な説話の一つである「異類婚姻譚(いるいこんいんたん)」をご紹介する。
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「異類婚姻譚」とは
人間と異類の生物(主に動物だが、精霊などの場合もある)が婚姻関係を結ぶ物語の総称を「異類婚姻譚」と呼ぶ。
物語は、人間の女と異類の婚姻を描く「異類婿」と、人間の男と異類の婚姻を描く「異類女房」のいずれかの構成で語られることが多く、婚姻の破綻や、離別といった結末を迎える場合が多いが、めでたい物語も存在する。
中には一般的な知名度が非常に高い物語もある。
鶴女房
若者が山で罠にかかっていた鶴を助けた。ある大雪の夜、一人の娘が若者の家を訪ねてくる。両親に先立たれ親類の家を尋ねる折、道に迷ったという娘を若者は泊めてやった。雪は止まずに日が過ぎるうち、若者は、ここにおいてほしいと娘に頼まれる。了承した若者に対して娘は、作業中の自分の姿を絶対にみないことを条件に布を織る。布は評判になり若者は裕福になるが、好奇心に負け娘の作業姿を盗み見てしまう。娘は一羽の鶴であった。娘は自分が助けてもらった鶴だと告白し、正体をみられたからにはここにいられないと言い残し、若者の元を去っていく。
「鶴の恩返し」というタイトルで伝わっているこの説話も、代表的な異類婚姻譚の一つだ。他にも実に多様な動物が登場する婚姻譚が日本中に伝承されており、同じ説話でも地域によって内容や解釈が異なる点も非常に興味深い。
「一寸法師」や「浦島太郎」も地域によっては婚姻譚として伝承されている。
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