日本最古級の色街「木辻遊郭跡」をならまち(奈良市)で見つけた!旅で見つけた隠れ歴史スポット【前編】
旅や歴史についての執筆が多い筆者が、取材などの途中で見つけた隠れた歴史スポットを紹介します。
奈良市の旧市街・奈良町(ならまち)[※以下ならまち]は、太平洋戦争の戦火を免れたため、江戸時代そのままの町家と生活風景を残す貴重な町。
その一画に存在した「木辻遊郭」は、日本最古級とされる色街です。今回は、遊郭の歴史を紐解きながら木辻遊郭跡を紹介します。
まずは【前編】で、遊郭の起源、元興寺と木辻遊郭発祥のお話をします。この記事が、少しでも皆さんの歴史探訪の旅の参考になれば幸いです。
木辻遊郭が存在した「ならまち」とは
奈良市を訪れたらどこに行きますか?そう尋ねると、東大寺、春日大社、興福寺といった有名な寺社の名前があがってくるでしょう。
確かに東大寺や春日大社、興福寺などは、世界遺産にも登録され、とても見応えのある魅力満点の寺社です。でも、筆者はそうした寺社を差し置いても先ずは、ならまちに出向いてしまいます。
その理由はたくさんあります。しかし、理由を一つ上げるとしたら、ならまちの町並みの素晴らしさをあげます。
【「ならまち」の魅力】
ここには、江戸から明治に建てられた町家が建ち並び、人々の日々の生活や信仰が、その古い町並みに、しっとりと溶け込んでいるのを体感できるからです。
日本全国をめぐると、まだまだ古い町並みは多く残されています。奈良市の北には、古都の代表である京都もあります。
しかし、京都に残る貴重な町家の多くが、行政が監視しているのにもかかわらず、近年に入り次々と破壊されているという事実をみると落胆せざるをえません。
町家を中心として残された古い町並みという点にこだわるなら、ならまちのそれに今の京都は、遠く及ばなくなってしまったといっても決して過言ではないでしょう。
そんな、ならまちの一画に今回のテーマである木辻遊郭跡は存在します。
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