カムイと人間は平等。アイヌ民族の素晴らしい世界観「カムイ」ってどんな意味?:2ページ目
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カムイと人間は平等
カムイはもともと、カムイモシリというカムイの世界に住んでおり、カムイモシリでは彼らも人間の形をしていると考えられています。
彼らは人間界に存在する様々なものに形を変え、恩恵や災厄を与えるためにカムイモシリから人間界にやって来ているのです。例えばクマのカムイは人間に自らの肉や毛皮を与えるためにクマに姿を変えてカムイモシリからやってきている、と考えられます。
したがってそのクマを捕まえて殺し、肉を食べたり毛皮を利用する事は「クマのカムイからの贈り物を受け取った」と解釈されます。そこに「殺生は悪」という仏教的な概念はありません。
もちろん恩恵を受けた後はそのカムイに感謝し、「カムイノミ」という盛大な儀式を行ってカムイをカムイモシリに送り帰します。カムイが人間に恩恵を与えてくれれば、人間もカムイを丁重に扱い、豪華な供え物や儀式でカムイモシリに送り帰すのです。
反対に、人間を襲った悪いクマなどに対しては、本来「贈り物」である肉や毛皮を受け取る事は決してせず、カムイモシリに送り帰す儀式も行いませんでした。アイヌとカムイの関係はどこまでも平等だったのです。
参考文献:アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」(集英社新書)
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