私たちはよく「手ぐすねを引く」とか「手ぐすね引いて待ってるぜ!」なんて言葉を使いますが、「手ぐすね」って何なんでしょう。また、どうやって引くのでしょうか。
「手ぐすね」は弓の弦を補強する粘着材のこと
「手ぐすね」は、漢字で「手薬煉」と書き、弓の弦を補強する粘着材のことを指しています。この薬煉は、松やにと脂を混ぜ合わせたうえで、それを煮たうえで練ったもので、その粘着力が強かったことから補強材として使われていたそうです。
読者の皆さんは、博物館や資料館などで弓の展示や復元したものを見たことがありますか?
昔の弓の弦は麻のひもでできていました。麻ひもは繊維が短く、また太さが安定していないため、何本かの麻ひもを結わえて1本の弦を作るのですが、何本もの繊維を結わえるため、毛羽が立ってそそけてしまいます。
この毛羽がたたないようにし、弓の弦として十分な強度を持たせるため、弦に薬煉を塗り込んでいました。またその粘着性から、弓の握る部分に巻く皮を固定させる接着剤としても使われていました。