泳ぐ宝石「錦鯉」もともとは食用だった?なぜ「ニシキゴイ」と呼ばれるようになったの?
その洗練された美しい姿から「泳ぐ宝石」として、近年では海外でも注目を浴びている錦鯉(ニシキゴイ)。高いものだと一尾数万円もするものもあるんだとか。
今ではすっかり観賞用の鯉として人気の高い魚ですが、生物学上では、骨魚網コイ目コイ科コイ属の温帯性淡水魚で、これは食用とされる真鯉と全く同じ品種です。つまり、生物学・遺伝学的にマゴイとニシキゴイは違いがないということになります。
そんなニシキゴイですが、発祥は新潟県長岡地域の旧山古志村や小千谷市の辺りだとされています。
ニシキゴイの歴史
話は江戸時代の頃にまでさかのぼります。この辺りはかつて山間部で、住民たちは山肌を段のようにならし「棚田」を作り、米や野菜を栽培していました。
そしてこの「棚田」に水を引くために棚田の上層部に作られた貯水池で、食用として鯉を飼育していました。雪深い冬の動物性たんぱく質として利用されていたわけです。
この鯉がある日突然変異を起こし、真っ黒な真鯉の中に、色の違う鯉や、模様のある鯉が生まれたのです。農民たちはこれを大変珍しがり、より美しい、 より珍しい鯉を作ろうと意図的に交配を行い、品種改良をし始めました。
そして、そのような鯉を何代も交配していくうちに緋鯉が出現し、さらに浅黄、べっ甲などの色を持った個体が現れるようになったそうです。
その後も改良が加えられ、明治以降さまざまな模様の錦鯉が生産されるようになりました。
今日、ニシキゴイの生産は日本各地だけにとどまらず、世界中に広がり、さまざまな品種の名鯉が誕生しています。
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