即興劇の「俄(にわか)」
俄とは、江戸時代から明治期にかけて流行った即興の芝居です。別の表記で「仁輪加、仁和歌、二和加」とあるものも。この俄は「俄狂言(にわかきょうげん)」の略で、江戸時代に路上で素人が演じた即興の芝居を指します。歌舞伎の演目を再現したものもありました。
地方によって、「大阪俄」「博多俄」などがあります。大阪俄はこっけいさを売りとする寸劇で、博多俄は盆踊りから派生したとされる寸劇であり、独特のお面をつけて行われました。博多のにわか、というと思い浮かべる方も多いでしょう、あの博多名物である「二○加煎餅(にわかせんぺい)」の面はここからきているのです。
吉原三大行事のひとつ
さて、各地で流行したとされる俄ですが、江戸・吉原でも流行しました。吉原は年中行事が多いことで知られていますが、そのなかでもこの俄と春の夜桜、玉菊灯籠(たまぎくとうろう)は吉原三大行事として有名です。
吉原の8月の行事には以前紹介した、女郎が白無垢姿で過ごす「八朔(はっさく)」という行事もあります。
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吉原俄は享保年間(1716~1736年ごろ)に始まったとされており、明治時代に発表された樋口一葉の「たけくらべ」にもそのことが触れられているので、かなり長く続いた行事であることがわかります。