リアル光源氏?高スペックな才能を誇った平安時代のプレイボーイ「平貞文」ってどんな人?:2ページ目
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惚れてまうやろ~?愛しの侍従に振り回される平中
次に紹介する平中の伝説は、『今昔物語』や芥川龍之介の『好色』にも取り上げられているエピソードです。ある大臣の家に仕える“侍従”と言う女房に惚れた平中はラブレターを書いて『見たという返事だけでも頂きたい』と伝えたところ、その手紙の“見た”と書いた部分だけが帰ってきたり、夜這いをかけても騙されて逃げられるなど、散々な目に遭います。
あの意地悪女を嫌ってやる手はないものかと思いつめた平中は、侍従がトイレとして使っている箱を召し使いから奪い、その中身を見ます。いかに美しくて聡明でも、出るモノは普通の人と同じ。これで嫌えるだろうと思いきや、箱の中身は良い香りです。
平中が口にしてみると、それは丁子を煮詰めた液の中に野老(山芋の仲間)とお香、甘味料を調合した固形物で、侍従はそうなることを予測して平中にお菓子で作ったニセの汚物を掴ませたのでした。
数々の女を陥落させた自分を上回る侍従の機知と魅力に恋い焦がれた平中は、遂に病に倒れて死んでしまう…としてこの説話は終わります。実際の平中こと平貞文は延長元年(923年)に亡くなっていますが、失恋がきっかけで死んだかは不明です。
しかし、このような逸話が生まれるほどに彼が魅力的な文化人にしてプレイボーイであったかを今に伝える、またとない物語であるとも言えます。
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