立体写真も!幕末に生まれ日本の姿をリアルに撮影し続けた写真家「T・エナミ」の古写真たちが素敵!

増田 吉孝

幕末〜明治時代初期に撮影された古写真には江戸時代の面影が色濃く残るものもあり、当時の日本の姿を知る上でとても貴重な資料となります。それらの古写真は、フェリーチェ・ ベアトを始めとする海外の写真家によって撮影されたものもあれば、日下部金兵衛など日本人写真家による作品も多く残されています。

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そして今回は、幕末〜明治期の日本の写真家の中で忘れてはならない人物「T・エナミ」を今回は紹介します。T・エナミの本名は江南信國(えなみのぶくに)。当時はT・エナミという通称で知られていました。

幕末の安政5年(1859年 )生まれで、明治時代に活躍した写真家です。T・エナミは印刷技術者の小川一真のもとで写真技術を学び、後に横浜で写真スタジオを構えることとなります。当時横浜は海外との貿易拠点で、ほかの写真家のスタジオも横浜に多かったようです。彩色が施された白黒写真は「横浜写真」と言われ、海外の人々に人気がありました。

 

T・エナミは通常の写真のほかにも新しい技術を取り込んだ撮影方法にも積極的に取り組みます。T・エナミが挑戦していた手法で代表的なのが、立体写真(ステレオビュー)。

微妙に違う角度から撮影された写真2枚を左右に並べ、その写真を見続けることで写真が立体的に見えてくるというものです。見方には結構コツがいります…。(寄り目で遠くを見続けるかんじ)。

T・エナミの写真は国内のみならず海外でもとても人気が高く、特にアメリカでは3社もの出版社から作品が発売されたそうです。そのため、T・エナミの写真を紹介している海外サイトもよく見かけます。

関東大震災が発生した1923年にはスタジオを焼失してしましますが、その後再建。1929年のT・エナミの死後は長男がスタジオを引き継ぎました。

現在に残るT・エナミの写真は彩色写真が多く、当時の日本の姿をとてもリアルに伝えています。横浜や東京などの都市の様子だけではなく、人々の普段の何気ない暮らしぶりを切り取った写真も数多く残されているので見応えがあります。

それでは最後に、T・エナミによる明治初期の日本の姿を捉えた写真たちを紹介します。

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