十返舎一九による江戸文学『東海道中膝栗毛』と言えば、江戸に住まう一介の町人である弥次郎兵衛と喜多八の名コンビが織りなす滑稽本にして旅行文学として有名です。絵本や児童書でもタイトルが“やじさんきたさん”と名付けられたり、長谷川町子さんによるパロディ漫画『新やじきた道中記』が今も読まれていたりと、万人向けのコメディとして流布しています。
しかし、原作の『膝栗毛』での“弥次喜多”コンビの、そうしたコミカルかつ颯爽とした弥次喜多コンビのイメージとは、はるかにかけ離れたものでした。今回は、弥次さんと喜多さんのキャラクターと、二人が旅立つまでの発端について二部構成で紹介していきます。
2ページ目 実は江戸っ子じゃなかった?後付けで駿府生れになった弥次喜多コンビ