恋の手本になりにけり…大ブームを巻き起こした江戸の三大心中を紹介:2ページ目
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藤枝心中 天明5年(1785)
江戸の旗本藤枝外記(27歳)と新吉原江戸町一丁目の大菱屋遊女綾絹(19歳)との心中事件。ついに起こってしまいました!五千石取りという立派な旗本の心中事件。しかも相手は吉原遊女ということで、更に世間で大炎上しました。「君と寝やろか 五千石取ろか なんの五千石 君と寝よ」という皮肉った唄が大流行したほどです。
ちなみに心中した旗本の外記には、遊女綾絹と同い年の若い奥さんがおり、彼女は浮気被害者であるにもかかわらず、夫の責任をとって謹慎刑を受けました。まだ幼い子供たちにしてみれば、父親は知らない遊女と心中し、母親は他家の狭い部屋に押し込められて会えない、家は改易処分ととんでもない運命を背負ってしまったようです。
この事件を元にした作品: 岡本綺堂「箕輪心中」
それぞれ関連作品を紹介しましたが、今回取り上げる三つのうち二つは近松門左衛門の浄瑠璃になっているので、ぜひ名文名高い近松の原文も味わってみてください。
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