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江戸時代のふぐ料理禁止令…でも庶民はお構いなし!ふぐ料理が法律を破って大発展

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庶民はこっそりフグを食べる。解毒剤は…夏野菜のアレ

しかし、武士と並ぶ江戸時代の主役である庶民はこっそりとフグを食べ、その美味に舌鼓を打っていました。江戸初期に記されたとされる『料理物語』では“ふくとう汁”と呼ばれ、味噌と醤油で味付けしたフグのお汁に、にんにくと茄子を入れた物が記載されています。

ニンニクは薬効、ナスは毒消し効果(本当にあったのでしょうか?)を期待されていたためにフグと共に食べられていたのは想像に難くありませんが、これらはいずれも夏野菜であるため、当時からフグは夏にも食べられていたことがわかります。

松尾芭蕉もおっかなびっくり句に詠んだ

『料理物語』のふくとう汁以外にも、鍋物のように豆腐やネギと煮込んだフグ汁も広く食べられており、かの松尾芭蕉も俳句にしていました。

『あら何ともなきや きのふは過ぎて ふくと汁』
『河豚汁や 鯛もあるのに 無分別』

前者はフグ汁を食べた前日の思いつめた心境の空しさを、後者は安全で美味しい鯛を捨ててまでもフグを食べたがる愚かさを詠んでいますが、それほどにフグの美味しさは人を虜にしていた事を示しています。

『跡で聞きゃ 肝のつぶれる 刺し身なり』と言う川柳もあることから、お刺身(てっさ)として食べられていたことも分かりますが、どちらかといえばまだマイナーな存在でした。こうして不遇をかこったフグ料理が日の目を見るのは、幕末、明治になってからでした。

 

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