吉原の遊女には、いろんな風習があったようですね。例えば、結婚しているか関係なくお歯黒の風習がありました。つまり、お歯黒でない遊女は年季明けで素人の女になったということ。ちなみに、岡場所の遊女などはお歯黒をしないので、お歯黒=吉原の遊女という印でもあったのですね。
そして、冬でも吉原の遊女は足袋をはかず上草履という分厚い草履をはいていたそう。素足をみせるのが粋だと思われていたのです。廊下を歩くとバタンバタンと音がするのも、吉原の妓楼ならでは。この賑やかな音は、遊女の脱走防止にも一役買っていたのですね。ちなみに花魁道中のときは、足にまで白粉をぬって足の爪にも紅をさしていました。
床入りの場面での風習は?
また、吉原では、布団の枚数で遊女のランクがわかるといわれていました。たとえば格子女郎だと布団2枚重ね。高級遊女になると、表はビロードか羅紗、裏はちりめんの布団を3枚重ね。花魁や太夫のトップクラスになると、5枚重ねということもあったそう。
枕もとには、御簾紙(みすがみ)という高級鼻紙がスタンバイ。遊女は、この御簾紙を口で取るのが粋だと言われていたようです。片手で男性を奮い立たせながら御簾紙を口でとる姿は、なんとも艶っぽかったことでしょう。
さらに、江戸時代後期にはローションの代わりとして米を水でどろどろに練ったものを使用していました。といっても高級遊女はほとんどローションを使いません。よく使っていたのは、一日に何人もの客と床入りしないといけない下級遊女でした。痛み防止と時間短縮のためなのですが、客の前でおもむろにローションを塗るということはなく。床入り前にそっと局部に塗るなど、客への配慮が必要だったのです。