「べらぼう」はやっぱり面白い!総集編の予習にもう一度見たいあの場面10選&魅力3選を振り返る:4ページ目
なぜ視聴率ワースト2位に!?
他にも名場面がてんこ盛りだった大河べらぼう。ですが、視聴率はワースト2位という結果になってしまいました。
他の作品と切磋琢磨しているため、順位がついてしまうのは仕方ないものの、ここでは視聴率が作品の魅力についていけなかった理由について考察していきましょう。
本作の舞台は、江戸時代後期という日本史ファンの中でも馴染みが薄い時代です。そのため、ある程度の予備知識を仕込んでおかないと、なかなか楽しめません。要するに、ちょっと敷居が高いのです。
「だからこそ楽しいんじゃないか」という方もいらっしゃいますが、多くの視聴者は大河ドラマを歴史学習の機会ではなく、娯楽としてとらえていることでしょう。だから気楽に見られない大河べらぼうは敬遠されたのかも知れません。
また派手な合戦や立ち回りがないことから画面映えに乏しく、見ていて退屈だという意見もありました。
そして次から次に新キャラが登場し、一人ひとりに感情移入できず、誰を追い駆けたらいいのかという感想もあるようです。髪型や衣服も変化をつけにくいため、見分けが難しい点もあるでしょう。
さらに江戸市中(蔦重たちの活動)や江戸城内(幕閣たちの政争)を行ったり来たりする場面転換の激しさから、必死に見ていないとストーリーについていけません。
加えて細かな描写や伏線が多く、それらは丁寧に回収されているため見ごたえはあるものの、やはり多くの視聴者はそこまで期待していないようです。
追加で「政治や陰謀も面白いけど、そこへ無理に蔦重をからませる≒物語のスケールを大きくすることはなかったと思う」という感想もありました。
せっかく本屋なのだから、巨悪を討つ展開に気を散らせるよりも、黄表紙や浮世絵の魅力を深掘りして欲しかったという意見には筆者も同意します。
物語は江戸市中での創作・出版活動をメインにして「何かお城の方で政治的な問題があるみたいだよ」くらいの距離感・温度感でも十分ではなかったのでしょうか。
筆者としては、ビジネスの心得や当時の商慣習や倫理・道徳などもしっかりと描き込むと、より味わいが深まるように感じました。
全体と通じて「通好みを志向した結果、多くの視聴者からは支持を得られなかった」といった印象を受けます。
