手洗いをしっかりしよう!Japaaan

坂本龍馬の“あの名言”、実は本人まったく言ってなかった!史実から幻の名言 誕生の背景を解説

坂本龍馬の“あの名言”、実は本人まったく言ってなかった!史実から幻の名言 誕生の背景を解説:2ページ目

「ヒーロー化」の原因は司馬遼太郎だけではない

このように龍馬の言動には、史実と創作と脚本家の引用が混在しています。信長や秀吉と同じように、龍馬像も創作によって大きく膨らまされてきたのです。

特に坂本龍馬については、司馬遼太郎がヒーローとして描きすぎたため史実とかけ離れた人物像が定着してしまったのは事実でしょう。

そのため批判も多く、日本史の教科書から龍馬の名前が消えるかも知れない、ということで最近話題にもなりましたね。

教科書から幕末のヒーロー・坂本龍馬の名前が消える!?その理由と真相について考える

あの偉人の名前が消える!?歴史の研究も日進月歩で、これまでの通説やその扱われ方が大きく変わることも珍しくなくなりましたね。例えば、鎌倉幕府の成立は1192年ではないとか、「鎖国」という言葉が使われ…

しかし、これには若干の誤解があります。確かに龍馬が極端に英雄視されたのは、司馬遼太郎の影響も大きいのですが、龍馬は戦前からすでにヒーロー扱いされていました。

明治時代の小説で坂崎紫瀾の『南の海血汐の曙』『汗血千里駒』でも龍馬や幕末の志士の活躍が描かれています。

また、昭和18年の国定教科書『初等科国史』にも《朝廷では、内外の形勢に照らして、慶應元年、通商条約を勅許あらせられ、薩長の間も、土佐の坂本龍馬らの努力によつて、もと通り仲良くなりました≫とあるのです。

つまり龍馬は戦前から英雄的存在として知られており、『竜馬がゆく』も『巨人の星』もその影響を受けた(可能性がある)ということです。

ヒーローとしての坂本龍馬と、史実としての坂本龍馬。双方のイメージに隔たりがあるのは事実ですが、その隔たりも実に根が深く、解きほぐすのも簡単ではありません。

参考資料:浮世博史『くつがえされた幕末維新史』2024年、さくら舎
画像:photoAC,Wikipedia

 

RELATED 関連する記事