『豊臣兄弟!』でどう描く?三家老・小川下野守はなぜ歴史から姿を消した?豊臣秀長を支えた生涯:2ページ目
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小川下野守≒小川祐忠?
まさに小川下野守の生涯におけるピークと言える時期ですが、不思議なことにここで彼は忽然と姿を消してしまいます。
討死したとか隠居したとか追放されたとか切腹を命じられたとか言った理由やその予兆もなく、まるで最初からそんな者はいなかったとばかりに。一体なぜでしょうか。
未だに謎のままとなっているのですが、歴史学者の本郷和人は小川下野守の正体は小川祐忠(すけただ)ではないかという説を提唱しています。
小川祐忠も小川下野守と同じ近江国の出身で、主君を浅井長政→織田信長→明智光秀→柴田勝豊(勝家の養子)→豊臣秀吉と変え、概ね小川下野守と似たような経歴をたどってきました。
小川下野守の存在や活動は軍記物語『太閤記』によるところが大きいため、もしかしたら小川下野守は小川祐忠をモデルに創作されたのかも知れませんね。あるいは同族だった可能性もあるでしょう。
終わりに
今回は豊臣秀長を支えた三家老の一人・小川下野守について、その生涯をたどって来ました。
人生のピークを迎えたところで忽然と姿を消す謎の武将でしたが、果たして令和8年(2026年)NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」では、どのように描かれるのでしょうか。
本作では秀長家中のみならず、他にも多くの戦国武将が登場するはずなので、改めて紹介していきたいと思います。
※参考文献:
- 大和タイムス社 編『改訂 新しい大和の歴史』大和タイムス社、1973年1月
- 本郷和人『豊臣の兄弟 秀吉にとって秀長とは何か』河出新書、2025年10月
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