一撃必殺の“急所突き”って本当なの?江戸武術が編み出し極秘伝授「秘孔」の恐るべき実在

みずめ

秘孔や経絡ってなに?

秘孔(ひこう)と聞くと、「あたたたた!」という声と共に漫画『北斗の拳』を思い出す世代もいるでしょう。

その後も「秘孔を突く」という急所攻撃は、さまざまなアクション漫画やバトル漫画で扱われることもあり、一撃で屈強な相手の膝を折ることのできる秘術として、少年少女の心をときめかせてきました。

さて、そもそも秘孔という言葉は、フィクションの世界での半ば造語です。東洋医学や古武術においては「経絡思想」や「経絡」「経穴」という用語を使います。経絡は気の流れを示し、経穴はその経絡の重要な個所のことで、一般的にはツボと呼ばれます。

江戸時代の柔術家は多くの漢籍によって経絡や経穴を学び、鍼灸医術ともに知られるようになりました。医術として活かされるこの知識を、人体の急所として攻撃に転じ利用するようになったというわけです。

しかし流派によって、同じ急所でも異なる名称がつけられ、複雑化していったようです。
人体の急所図は、江戸時代の『三才図会』や『経絡図説』などの漢籍を元に、和名で名づけられています。

急所の名称は柔術や古武術の流派によって異なりますが、経穴を狙う武術の総称は「当身(あてみ)」や「当身殺活法」といわれるようです。

実は五行思想(陰陽道)と密接な「急所」

五行思想とは神羅万象が木・火・土・金・水の属性にあてはめられ、その五つが連動し相互作用する世界の見方ですね。
これを五臓六腑にあてはめます。

肝臓➡木
心臓➡火
脾臓➡土
肺臓➡金
腎臓➡水

です。

柳生心眼流では五輪塔を人体に見立てて、図解しています。およそ五行を人体にあてはめると下図のようになります。その図に対して経穴(急所)を解説しています。

〈五輪塔図と相対する身体〉

木➡頭
金➡肩から首
火➡上半身(あばらからおよそ上)
水➡下半身(あばらからおよそ下)
土➡足(おおむね臀部から下)

〈例:五主〉

木➡筋
火➡血
土➡肌肉
金➡皮毛
水➡骨
※さらに五臓・五腑・五根・・・・などと分類されてますが割愛します。

3ページ目 実際の急所の部位と名前は?

次のページ

この記事の画像一覧

シェアする

モバイルバージョンを終了