江戸浪人たちの内職「傘張り」はどのくらい稼げた?収支をリアルに計算してみたら…:2ページ目
傘張り工程と小売相場
道具と材料が揃ったところで、さっそく傘張りを始めましょう。
まずは傘張りの工程を確認します。
①骨組みから古い油紙を剥がすor切り取る
②乾燥している骨組みに新しい油を貼る
③糊が乾いたら、はみ出た油紙を切り取る
④最終確認して、不備がなければ完成
……と、ざっくり挙げてみましたが、得手不得手や気候など(湿度が高いと糊が乾きにくい)によって作業スピードや精度は大きく変わってくるでしょう。
一本仕上げるのに、最速で半日(数時間)、かかった場合は2〜3日と考えられます。
※もちろん同時進行で作業したでしょうから、腕や作業スペース次第では、1日に10〜20本くらいは張れたかも知れません。
そうして張り替えられた傘の小売相場は、一般的に200〜300文(約5,000〜7,500円)と言われますが、腕が悪いと買い叩かれてしまう手合いもいたことでしょう。
先ほど、傘の材料にかかる原価率を20パーセントと見積りましたが、その場合はトータルで40~60文(約1,000~1,500円)ほどの計算になります。
ちなみに小売(消費者への直接販売)が許されず、問屋や地元の顔役がまとめて仕入れる卸売価格だった場合、浪人の収入はもっと減ってしまいます。
