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【べらぼう】で言及された芝全交(亀田佳明)の黄表紙『大悲千禄本』とはどんな物語なのか?

【べらぼう】で言及された芝全交(亀田佳明)の黄表紙『大悲千禄本』とはどんな物語なのか?

先日の記事で紹介した、天明から寛政期にかけて多くの作品を世に送り出した戯作者・芝全交。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、亀田佳明さんが演じています。

【べらぼう】に登場!江戸文芸界を代表する存在、戯作者・芝全交(亀田佳明)の生涯をたどる

◆芝全交/亀田佳明しば・ぜんこう/かめだ・よしあき天明・寛政期を代表する戯作者。※NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。随分とあっさりした人物紹介ですが…

さて、そんな芝全交(しば ぜんこう)が出した黄表紙『大悲千禄本(だいひのせんろくほん)』とは、どんな物語なのでしょうか。

「べらぼう」第30回放送「人まね歌麿」ではタイトルが言及されるだけだったので、その内容を紹介したいと思います。

※以下の章立ては便宜上割り振ったものです。

第一章「千手観音の手、貸します」

今は昔し、千手観音がカネに困って千本ある自分の手を貸し出すことにしました。

何で仏様がカネに困っているのか?とか、手を貸してカネになるのか?とか、そういう野暮なツッコミはご遠慮ください。

とりあえず一本一両、合計千両の「手切れ金」で面皮屋千兵衛(つらのかわや せんべゑ)に手を切り取らせます。

かくして千手観音から千本の手を借り受けた千兵衛は、さっそくレンタルサービスを始めました。

【千手観音の御手 貸し料】

ちょっと貸し 32文(約1,300円)
1泊2日 銀3匁(約8,800円)
1ヶ月 金2両(約34万円)
1年 金10両(約170万円)

※千手観音(シラミ)のおつぶしには使わないでください。

※おにぎり結びや指人形の五人組(いずれも男性の自慰)には使わないでください。

※心中などで指を切り落とした手は、返却せず買取してもらいます。

以上 十七屋講中(千手観音を祀る十七夜と質屋をかけた)

第二章「観音様の手も借りたい人々」

お知らせを出すと、猫の手でも借りたい連中が千手観音の手を借りようと集まってきます。

その顔ぶれが、こんなところ。

  • 一の谷の合戦で右腕を斬られた薩摩守・平忠度(たいらの ただのり)。
  • 渡辺綱に片腕を斬られた鬼の茨木童子(いばらきどうじ)。
  • 人形芝居で手をつけてもらえない端役人形。
  • 手のない(接客が下手な)女郎。
  • てんぼう政宗(まさむね。正宗)
  • 字の書けない男。
  • 三味線弾きの手習い……等々。

中には「足の余りがあったら貸して下さい」なんて者もいました。あいにく千手観音も、足は二本しかないので貸し出せません。

2ページ目 第三章「借りた手の使い方」

 

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