【べらぼう】で言及された芝全交(亀田佳明)の黄表紙『大悲千禄本』とはどんな物語なのか?:3ページ目
第五章「そしてオチは?」
ともあれ千手観音の手がすべて戻ってきたところで、今度はそれを田村麻呂の背中に装着。これで千手観音の御加護もバッチリです。
「それではさらば!」
手手てん、手手てん、手手てん、手手てん、手手てん
てゝてゝてゝ手手手手手手手 手手手手手 手手手手手てててててててててててててててて
てててててててててててててててててててててててててててててててててててててててて……※原文より。
去っていく田村麻呂。この「て」の字が「め」の字だったら、薬師如来(※眼病平癒に「め」の字を書いて)に奉納するのに。というオチ。
終わりに
……というお話しでした。
ちょいちょい小ネタを笑えるところも散りばめつつ、そもそも「千手観音の手を切り取って貸し出す」というクレイジーなシチュエーションがたまりませんね。
芝全交は他にも『十四傾城腹之内(じゅうしけいせい はらのうち)』『芝全交智恵之程(しばぜんこう ちえのほど)』『玉子の角文字(たまごのかくもじ)』など、エッジの利いた戯作を世に出しているので、また改めて紹介したいと思います。
※参考文献:
- 芝全交 戯作 ほか『大悲の千六本 1巻』国立国会図書館デジタルコレクション
