江戸時代、なぜ犯罪者はヒーロー化したのか?武士の堕落が生んだ鼠小僧ら「義賊」の真実:2ページ目
失われた清廉さ
しかし、江戸時代後期になると支配層である武士たちの堕落が顕著になり、この身分社会に疑問が持たれるようになります。
武士といえば「武士は食わねど高楊枝」「武士に二言はない」などの言葉が表すように清廉潔白なイメージがありますね。しかし、そうでない者も少なからず存在していました。
例えば、当主が亡くなったのに「病気療養中」とウソをつき、亡くなった当主の給料をもらい続ける者がいました。しかも1人だけでなく、多くの昔がそれを当たり前のように行っていたといいます。
現代でも、少し前に似たような手口で親の年金をもらい続けたケースが次々に発覚したことがありましたが、同じようなことは江戸時代から行われていたのです。
有名な大塩平八郎は大坂奉行所の与力で、そんな役人の汚職や奉行所の不正を幕府に訴えましたが相手にされず、最後は自ら武装蜂起して討たれたということになっています。
大塩の乱は、平八郎一人の独り相撲の暴走だったという見方が現在では一般的ですが、幕府の役人がこのような反乱を起こしたことは、世間に大きな衝撃を与えました。それくらい、武士の堕落ぶりは目に余るものとなっていたのです。
