伝説の英雄がたどった晩年…日本海軍の名参謀・秋山真之はなぜ新興宗教にハマった?【坂の上の雲】:2ページ目
季子夫人が狂乱状態に……。
秋山真之と大本教が袂を別ちてしまったキッカケは大きく二つあったと言います。
一つは、秋山真之の夫人・秋山季子(すえこ)の病気。秋山真之は彼女が患った際、医師の治療を退けて大本教の祈祷を選びました。
これはかつて自分の病気が治ったから、という理由ですが、季子夫人には効かなかったようです。
適切な治療を施さなかったせいか、彼女の病状はますます悪化し、果ては狂乱状態にまで陥ってしまいました。
愛する妻をちゃんと治してくれないなんて、アイツら許せん……気持ちは解らないでもありませんが、やっぱりちゃんと医療を受けさせるべきだったのではないでしょうか。
※ちなみに秋山真之の病気が治ったのは、自然治癒力で事足りる軽症だったか、あるいはプラシーボ効果(気の持ちよう)だった可能性があります。
大地震の予言「アシは未来が見える」
そしてもう一つ、秋山真之が大地震が起こると予言したことでした。
「大正6年(1917年)6月26日、大地震が起こるぞ!」
これには流石の出口王仁三郎らも困惑、風説を流布せぬよう諭したそうですが、秋山真之は聞き入れません。
「アシ(私)は未来が見える時がある。かつてロシアのバルチック艦隊が、対馬沖を進んで来るのを、決戦の3日前に見たんじゃ。今回も間違いない!」
秋山真之が霊夢を見たエピソードは前から出口王仁三郎に相談しており、それが入信のキッカケになったとも言われています。
あの頭脳明晰で知られた秋山真之の神がかった作戦は、ひとえにこの霊能力に支えられていたのか……?
周囲は戸惑ったものの、ついに和解を見ることなく、秋山真之は大正6年(1917年)5月に大本教を去ったのでした。
果たして秋山真之の予言は本当に起きるのか……大本教の本部では大地震に備えて固唾を呑んだと言います。
しかし結局大地震は起こらず、いよいよ秋山真之も焼きが回ったかと胸を撫で下ろしたことでしょうか。
終わりに
大本教を去った秋山真之は虫垂炎を患い、箱根の地で療養に努めました。
しかし大正7年(1918年)に腹膜炎を併発し、2月4日に小田原で生涯に幕を下ろします。享年49歳。
日露戦争の勝利で救国の英雄と賞賛されながら、新興宗教にハマったことで晩節を微妙なものとしてしまった秋山真之。
果たして彼は、人生の真理にたどり着くことが出来たのでしょうか。
※参考文献:
