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隣から声が筒抜け!吉原遊廓「切見世」の仕切りはなんと襖1枚…どんな場所だったのか?【大河 べらぼう】

隣から声が筒抜け!吉原遊廓「切見世」の仕切りはなんと襖1枚…どんな場所だったのか?【大河 べらぼう】:3ページ目

切見世に生きる遊女たち

そんな切見世の遊女たちは、どんな事情があったのでしょうか。

大見世~小見世の遊女たちは、一般的に28歳が定年でした。

何せ若さが売りの商売ですし、年齢を重ねると体力的にもついていけません。

年季奉公が明けた遊女たちは基本的に自由の身となれるものの、中にはまだ借金が残っている者も少なくなかったようです。

また嫁ぎ先のあてもなく、遊女以外に飯を食うすべを知らない遊女たちもいたでしょう。

そんな遊女たちが定年制度のない切見世に身を寄せ、1坪ばかりの空間で寝起きし、働き続けたそうです。

他にも警動(取り締まり)や私刑などで岡場所(非公認の色街)を追われた遊女らが転がりこむこともありました。

何とか次の行き先を見つけるまで、切見世で我が身を切り売りしていたのでしょう。

泣く子も黙る?羅生門河岸とは

そんな切見世が連なる裏通りには区域別に別名があったそうです。

  • 浄念河岸(じょうねんがし)
    →江戸町一丁目と二丁目の裏道
  • 西念河岸(さいねんがし)
    →京町一丁目の裏道
  • 羅生門河岸(らしょうもんがし)
    →京町二丁目の裏道

西念河岸とは西念寺(東京都新宿区)、浄念河岸とは浄念寺(東京都台東区)に由来するのでしょうか。

それにしても羅生門河岸とは、何だか怖い名前ですね。

この通りに蟠踞(ばんきょ)する遊女たちは気性が荒……もとい商売上手で、強い……もとい巧みにお客を店内へ引きずり込……もとい惹きつけたことから、羅生門の鬼伝説に準(なぞら)えたと言います。

もし億が一、吉原遊廓の裏道をひやかされる御用がありましたら、羅生門河岸の遊女たちにはお気をつけくださいね。

終わりに

今回は吉原遊廓の場末エリア「切見世」について紹介してきました。皆さんは行ってみたいですか?どうですか?

NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」でも浄念河岸の様子が描かれましたが、今後は他の河岸が取り上げられるのでしょうか。

こういうカオスな空間って、絶対行きたくないけど何故か心惹かれてしまいますよね。ねっ?

※参考文献:安藤雄一郎 監修『江戸の色町 遊女と吉原の歴史』カンゼン、2016年8月

 

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