大河『べらぼう』で男色家・平賀源内が愛した実在の女形・瀬川菊之丞の生涯【後編】:3ページ目
男色愛だけではなく揺るぎない信頼関係も
ドラマ『べらぼう』2話で、男装の役者に扮した花魁・花の井が舞う姿に、今は亡き菊之丞の舞い姿を重ねた源内の瞳に、涙が浮かびあがるシーンに胸を打たれた人は多かったようです。
その頃、菊之丞は32歳ごろ平賀源内は45歳ごろだったとか。
現代の感覚ではまだまだこれからという年齢に感じますが、江戸時代の平均寿命は32歳〜44歳くらいといわれていました。
お互いに仕事や色恋にエネルギッシュだった時代は過ぎた頃だったのでしょう。
源内は最愛の菊之丞とともに、残りの人生を穏やかに寄り添って送りたかったのかもしれません。
けれども雪之丞は先に旅立ってしまいました。
花の井花魁の舞に、恋人の亡き菊之丞の姿を重ねつつ「あの頃のような時間をともに過ごすことは、もうできないのだな」……そんな源内の切ない想いが伝わってくるような場面でした。

