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大河『べらぼう』で男色家・平賀源内が愛した実在の女形・瀬川菊之丞の生涯【前編】

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この世のものとは思えない美しさで江戸っ子の心を鷲掴み

二代目瀬川菊之丞は、幼い頃から際立った美貌の持ち主で、江戸っ子の心を鷲掴みにしていました。

持ち前の美貌のみならず踊りや所作も美しく、役者としての才能にも恵まれていたという菊之丞。

江戸時代よりも古い武家社会を描いた「時代物」と、江戸っ子たちには現代劇となる町人社会や世相風俗を扱った「世話もの」の両方を兼ねて演じていました。

現代でも歌舞伎や日本舞踊で人気がある演目『鷺娘』は、この二代目菊之丞が初めて演じたそうです。

鷺娘は、人間に恋をしてしまった鷺の精の話。

白無垢の振袖に黒い帯、頭には綿帽子を被り、傘をさした人間の娘となった鷺。

白無垢姿から華やかな振袖姿となって踊るが、やがては本来の鳥の姿に戻ってしまい、むくわれない恋心に苦しみつつ次第に生き絶えていく……という切ない悲恋ストーリーです。

菊之丞は「竹田からくり芝居」(※)の趣向を取り入れて、舞台に大きな六角形の廻り灯籠を出し、それが回ると踊り手がでてくるという手法を使用したそうです。

※竹田からくり芝居:大阪道頓堀で旗揚げした機械仕掛けのからくりを用いた見世物で、屋体や道具を動かす大からくりのほか・水からくり・ゼンマイなどが評判になった。

美貌の瀬川菊之丞が演じた白い鷺の精は、さぞかしこの世の人間とは思えないほど、はかなげで美しかったのでしょう。

役者が稽古をしている姿を見せるというのは、よほどその相手を信頼していないとできないそうです。

源内の自宅で舞の練習をする菊之丞、それをうっとりと見詰める源内……二人の間には男色の恋人同士というだけではなく、いつまでも一緒に寄り添う相手として深い繋がりがあったのでしょう。

そんな、瀬川菊之丞は美しさと芸の上手さで大人気のアイドル役者だっただけではなく、舞台で身に付けたものはすべて江戸っ子に大流行するほどのインフルエンサーとしても知られていました。

【後編】の記事はこちら

大河『べらぼう』で男色家・平賀源内が愛した実在の女形・瀬川菊之丞の生涯【後編】

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