戦国武将の生首「首級」は取り扱い注意!ランク低ければ捨てられ、死に際の形相は化粧でごまかされていた:2ページ目
平常心ではいられない「首実検」
ちなみに、戦場で斬り落とされた武将の首によって、誰が何という敵の首をあげたのかを確かめる、いわゆる首実検が行われます。
戦国時代、討ち取った敵の首はどうなる?首級が本物か確認する儀式「首実検」とは
が、その前にすることがありました。切り取った首に死化粧が施されたのです。城にはこの「首化粧」を担当する女性たちもスタンバイしていました。
斬り取った首に化粧がされたのは、それを見る殿様や重臣に不快感を与えないためです。
やはり戦国時代とはいえ、死者の生首というのは気持ちのいいものではありません。なにぜ生首には無念の表情などが表れ、すさまじい形相をしているものが少なくなかったのです。
化粧された首は首台と呼ばれる台に固定されました。台の中央に突き出ている釘で、生首が転がらないようにセットするわけです。
首実検で首を見せる者は、左手に首台をもち、右手で首の髷を握りながら大将の前へ歩み出て、右顔を見せるのが決まりになっていました。
このとき、「諸悪本末無明…」といった呪文を唱えます。それで首の主は成仏し、怨霊の崇りは消えると信じられていました。
それでも、あまりに恐ろしい形相の首にの場合は僧侶を呼んで読経させ、供養することもあったとか。
そういえば漫画『逃げ上手の若君』では、本人確認が簡単に行われるシステムがあれば武士たちも「首実検」まではしなかっただろう、という趣旨のことが書かれていました。
血なまぐささには慣れていたであろう戦国武将たちも、やはり人間の生首に対しては平常心ではいられなかったのです。
参考資料:歴史の謎研究会『舞台裏から歴史を読む雑学で日本全史』2022年、株式会社青春出版社
画像:photoAC,Wikipedia

