日本史上最強の世捨て人!西行法師、吉田兼好…実はまったく「世を捨てて」いなかった!:2ページ目
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実は裕福だった
意外かも知れませんが、二人ともけっこうリッチに暮らしていたのです。
まず西行ですが、彼はもともと豪族の出身です。実家から援助を受けて、悠々と暮らしていたようです。
彼は各地を旅して回ったといわれますが、これも一本の杖を頼りに荒野をさまようといった孤独な世捨て人の旅のイメージからはほど遠く、お供を二、三人連れて、のんびりと旅行していたとされています。まるで水戸黄門ですね。
一方の吉田兼好はどうでしょうか。
彼はつれづれなるままに日暮らし硯に向かっていたようで、それだけを聞くとやはり山奥のあばら家あたりに引きこもって文章を書いていたようなイメージが湧きますね。
ところが、彼もちゃっかり商売をやっていたのです。それも不動産ビジネスです。質のいい田んぼを買って、それを転売するという仕事だったと言われています。
世捨て人というと「カスミを食って生活」とというイメージが湧きますが、少なくともこの二人はそうではありませんでした。
人間社会に疲れて「世捨て人」に憧れる人は少なくないと思いますが、日本史上最も有名な「世捨て人」の二人がこうなのですから、ガッカリしてしまう人もいるかも知れませんね。
本当に「世を捨てる」というのは実現しがたい理想像なのかも知れません。
参考資料:歴史の謎研究会『舞台裏から歴史を読む雑学で日本全史』2022年、株式会社青春出版社
画像:Wikipedia
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