一羽の兎が怪異を惹き起こす!平安京を襲った大火災の原因は殺された兎の怨霊だった?【光る君へ】:2ページ目
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なぜ兎は殺された?
というエピソードが藤原実資『小右記』に記されているのですが、そもそもなぜ使部らは兎を打ち殺してしまったのでしょうか。
その動機について当人たちの記録は残っていないため、推測するよりありませんが、おおむねこんなところかと思われます。
一、食糧にしたかった。
一、毛皮が欲しかった。
一、死穢によって仕事を休みたかった。
一、単なる娯楽・気晴らしのため。
一、死体を投げ込んで嫌がらせをしたかった。
後ろの三つは特にロクでもないですね。
死穢にふれると一定期間謹慎しなくてはならないため、それで仕事が休めます。
他人宅に死体を投げ込めば、同じ理由で嫌がらせもできるでしょう。
考えつく限りを並べてみましたが、せめて食糧や毛皮など、生きるために必要な殺生であって欲しいと思います。
終わりに
今回は一羽の兎を打ち殺してしまったため?に、大火災が発生したエピソードを紹介しました。
『小右記』にはあっさり書かれていますが、火災で焼死してしまった人々もいることでしょう。
平安時代には他にも様々な生き物が怪異を惹き起こしているので、改めて紹介したいと思います。
※参考文献:
- 倉本一宏『平安京の下級官人』講談社現代新書、2022年1月
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