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伝説の陰陽師・安倍晴明は地味な公務員!まるで”魔法使い”のような呪術の逸話は全てフィクション【前編】

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天皇から信頼される

伝承によれば、安倍晴明は那智山(和歌山県)で修行していた師貞親王(後の花山天皇)の邪魔をする天狗を封じたことでその力を証明したり、病に伏した一条天皇を禊によって回復させたこともありました。

また、藤原道長の命を受けて雨乞いを祈願し、深刻な水不足から民を救うといった超人ぶりを発揮しています。

晴明は時の天皇・花山天皇からの信任が厚く、宮中に何か異変があるたびに呼び出されたといいます。986(寛和2)年には、役所の庇の中に蛇がいた、家鴨が役所のなかに入り込んだ、というだけでも占いを行っているほどです。

彼の陰陽師らしい活躍が記されているのが『古事談』です。

花山天皇は雨が降るとしばしば原因不明の頭痛で苦しみました。そこで晴明が占ったところ、天皇の前生(前世)は大峰山の行者で、その髑髏が谷底の岩に挟まったままになっていると出たのです。

そして、雨が降ると岩がふくれて髑髏を圧迫している、とのことでした。

さっそく、天皇が晴明に教えられた場所に人を派遣して髑髏を取り出すと、頭痛は快癒したと言います。

また『大鏡』にある話では、彼は花山天皇が寛和の変で譲位に追い込まれることを占星術で予見したりしています。

天皇が藤原兼家・道兼父子にだまされて出家させられた時、天皇が晴明の家の前を通ると晴明がパチパチと激しく手を打ちました。

そして晴明は「天皇が退位されるようだ」と言い、「まずは式神ひとり、宮中へ参上せよ」と命じましたた。すると、見えない何者かが戸を押し開けたといいます。この何者かが、陰陽師が呪術や呪法を行う際に使役した式神だったとされています。

3ページ目 「式神の力」について

 

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