教科書が変わる大発見!?「山城国一揆」椿井家の古文書群に注目集まるが…偽書、創作の可能性は?:2ページ目
偽書じゃないの?『武功夜話』に通じる匂いが……。
しかし水を差すようで恐縮ですが、今回の「発見」について、筆者は懐疑的に見ています。
椿井家と聞いて、偽書の最高傑作として名高い「椿井文書(つばいもんじょ)」の存在が脳裏をよぎる方は少なくないのではないでしょうか。
もちろん「今回こそは本物、真書だ!」という可能性もありますが……。
そもそも通信の機密性も高くない戦国時代、間者を放ったなどの機密情報を、わざわざ書状に残すでしょうか。
内部で完結する文書なら百歩譲るとしても、敵に奪われるリスクの高いやりとりには用いるべきではありません。
千歩譲って間者の運用という重要機密を書状でやりとりしていたとして、後世の人間が見てそれと判読できるようなお粗末さでは、敵に情報がダダ漏れだったことでしょう。
実際に書状の中身を読んでいないので何とも言えませんが、恐らく江戸時代の子孫たちが創作した内容ではないかと思います。
確かに読み物としては面白いのでしょうが、そういうのは大抵創作だったというオチが相場です。
かつて偽書として議論を巻き起こした『武功夜話』に通じる胡散臭さが感じられないでしょうか。
民間の私たちは、歴史物語を楽しめばいい
もちろん、創作であったとしても歴史物語としては面白いと思います。
また、創作から歴史に興味を持ってくれる方がいれば、それは歓迎すべきことです。
民間の歴史好きなフリーライターとしては、古文書の真偽について、いちいち事を荒立てる理由もありません。
そういうことは「餅は餅屋」、歴史学者の皆様にお任せすべきです。
別に椿井家がどんな存在であろうと、虚構や伝承も含めて歴史物語を楽しめば、それでいいと思います。
ただ、史実とはちょっと違いそうですよね、というだけのこと。
※もし綿密な研究の結果、間違いなくこれは確実な史料であるとされた場合はすみません。
果たして今回の発見は真か偽か。今後の究明がまたれますね!
※参考: