約260年続いた江戸時代。安定した統治がおこなわれ、大きな戦争もなく平和な世であったと言えます。泰平の世が続いていた江戸時代後期になると、武士のなかには甲冑の着方もわからない者が少なくなかったそうです。
そんな武士たちの状況を憂いて書かれたのが、今回紹介する「擐甲図歌(かんこうずか)」です。
擐甲図歌は、美作国津山藩の兵学指南役の正木兵馬が著した兵学書で、享和2年(1802)に成立したもの。甲冑の着方がわからない武士に向けて、鎧を着る手順を18に分けて解説しています。
着方は文章とともに図解でも紹介しており、甲冑初心者にわかりやすいように心がけて書かれている印象。まさに江戸時代版「はじめての…」シリーズといった感じでしょうか。
こういった書物が出版されるほど平和馴れしていた江戸時代後期ですから、ペリー来航のときは武士たちはかなり焦ったことでしょうね。
擐甲図歌は国立公文書館のデジタルアーカイブで閲覧&ダウンロードできますの気になった方は是非チェックしてみてください。