幕末期「ええじゃないか騒動」の黒幕は薩長だった?最新学説の陰謀説を検証

集団ヒステリーとしての「ええじゃないか」

江戸時代末期に起きた、ちょっとつかみどころのない不気味な社会現象で「ええじゃないか」があります。日本史が好きな人なら、一度は聞いたことがあるでしょう。

これは、1867年の8月から12月にかけて東海地方と中国・四国地方で発生したものです。どこからか「天から御札が舞い降りてくる」という噂が広まって、これを聞いた人たちが、何かめでたいことの前触れだろうとお祭りのように踊ったというものです。

この踊りの中で、「〇〇したってええじゃないか」などと人々は連呼し、男性が女装し、女性が男装しながら熱狂的に町中を巡りました。これを、一般にええじゃないか騒動などと呼びます。

当時は日本社会が混乱しており、佐幕派と討幕派の抗争はもちろんですが、地震や飢饉、開国したことによる物価の高騰などで、人々の不安は募るばかりでした。だから何かの引き金があれば、こうした騒動が起きても不思議ではない状況だったと言えます。

これをもっともらしく説明すれば、社会不安を感じた人々のストレスが爆発して、現実から目をそらすために自然発生的に起きた集団ヒステリーだ……ということになるでしょう。

しかし、それにしても、そもそもの発端というのがあるはずです。ひとつの地域だけでなく、さまざまな場所で多発したこの現象が、全て完全に自然発生的だったというのは不自然で、最初の「天から御札が舞い降りてくる」という噂の出どころは何だったのかが問題です。

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