京都府庁旧本館がコスプレの聖地になりつつある件
京都府庁旧本館が、コスプレの聖地と化しつつあるんだそうです。某人気アニメ制作会社があるおかげで、あちこちが「聖地」化してる昨今の京都。でも、旧本館が出てくる作品なんか、あったっけ。そう思う方もいらっしゃるかも知れません。旧本館はその手の「聖地」ではなく、どうやら建物そのものが、レイヤーさんたちの人気を呼んでるらしいのです。
京都には、明治時代の洋館が案外たくさん建ってます。特に三条通周辺なんかは、その手の良質な物件が集中。赤レンガの外壁を残して現役稼動中の中京郵便局、現在は文化博物館になってる旧・日本銀行京都支店、毎日新聞社京都支局がアートなスポットに化けた1928ビルなど、好き者にはたまらないエリアになってます。
何で京都にそんなにたくさん洋館が建ったのかといえば、明治維新の東京遷都で京都人は「時代に取り残されるっ」と慌てたから。「奈良みたいになるっ」と言ったら奈良に失礼ですが、当時の京都人は本気でそう考え、やたらめったら「文明開化」なアイテムを取り入れまくりました。赤レンガはもちろん、発電、電車、学校、などなど。そのうちのいくつかは先走り過ぎて、めでたく日本初の導入になったりしてますが、とにかく必死だったわけです。
京都府庁旧本館も、正にそんな時代の産物。明治37年に金と気合を叩き込んで竣工、ルネサンス様式の外観と和風の内部意匠が映える名建築です。今でも一部は庁舎として活用されていて、現役の官公庁建物としては日本最古。国の重要文化財にも指定されてます。
その旧本館が、商業用の撮影を有料で許可するようになったのは、2011年。府側としては当初、映画やパンフレット写真などのオーソドックスな商業撮影を見込んでたそうですが、フタを開けると最も多かったのが、コスプレ撮影会。「本物感が違う」みたいな感じで建物そのものの人気が口コミで増大、撮影会のオーダーも増加中だとか。府側も「マナーがよい」と、レイヤーたちを歓迎ムード。新しい文化の吸収を象徴する建物は、21世紀に入ってまた「新しい文化」の「聖地」になろうとしてるのかも知れません。
重文・京都府庁旧本館 コスプレ聖地化? – 京都新聞