元々は魔力を秘めた権威の象徴だった。「杖」って日本にいつからあるの?
昨今、アウトドアブームで登山やハイキングが人気ですね。
最近はトレッキングポールといって、歩くことに特化した道具が多様にあり、通の人は「トレポ」と呼んでいます。私の知人は頑なに「杖」と呼ぶのですが、杖だとどうも高齢者が体を支える様子が頭に浮かんで、スポーツのイメージからは遠ざかりますよね…。
でも「ステッキ」と呼ぶと、チャップリン映画のように紳士のイメージが湧きませんか?では杖とステッキに厳密に違いがあるのでしょうか?
そもそもステッキとは
ステッキは、元々農耕の道具や武器として使われていた実用品でしたが、のちに権威を表すステータスとして変化していったと思われています。
権威の象徴としては、古代ギリシャ神話の「アスクレピオスの杖」が始まりであるといわれています。
しかしヨーロッパ以外の地域でも、たとえば古代エジプトやメソポタミアでも装飾品に杖が描かれていますし、伝説や架空の世界、モーセなど聖書の預言者や指導者も杖を持っていますし、ハリー・ポッターに出てくる魔法使いたちも杖を持っていますよね。なにやら魔力や特別な力を携えたものとして描かれます。
神話の世界をすぎると、ヨーロッパでは中世から王が権力の象徴として、貴族は剣を仕込んだステッキを持つようになります。実用性よりもアクセサリーの意味合いが強く、装飾がたくさん施されていました。
18世紀末から19世紀にかけてイギリスで産業革命が起きると、タキシードが流行し、上流階級の権威の象徴であるステッキは風俗として残り、やがて「フォーマル」なアイテムとなっていきました。今でも残る英国紳士といえば「シルクハットにステッキ」を思い浮かべる人が多いでしょう。
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