郷土料理「しもつかれ」の民俗学的な起源は?その栄養価と宗教的意味を解説
「しもつかれ」の奥深さ
北関東で「しもつかれ」もしくは「すみつかれ」と呼ばれている郷土料理があります。ご存じの方や、食べたことがあるという方も多いでしょう。
郷土料理と言うと、単純に地域の食材を使った素朴な料理というイメージがありますが、しもつかれはその出自がやや謎めいている点や、民俗とも深く関わりがある点、そしてその栄養価の高さなど、単なる郷土料理の枠には収まらない奥深さを感じさせます。
しもつかれはどのような料理かというと、正月に食べて残った塩引き鮭の頭の部分と、節分で播いた豆、そして大根のすりおろし、にんじんなどの根菜類や酒粕をまとめて煮込むものです。
つまり、しもつかれは余った食材を上手に活用するレシピで、上述の材料からも分かる通り、その栄養価もとても高いのです。
もともと鮭という食材は捨てるところがないと言われており、必須アミノ酸が豊富な上に、動脈硬化を予防する不飽和脂肪酸、高い抗酸化力を持つアスタキサンチンも多く含まれています。
豆まきで使う大豆にはタンパク質、ビタミン、ミネラルが詰まっており、根菜類は食物繊維も多く含まれています。そこに、肌の健康維持や疲労回復にも効く酒粕が入っているのですから、もう言うことなしです。
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