山城国一揆って何?戦国時代前夜に農民たちが自治を勝ち取った画期的事件:2ページ目
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「自治」の難しさ
さらに、1493年に都で起きた明応の政変の影響で、惣国内の人々も細川派と畠山派に分裂してしまいます。
その結果、一度は自治支配を勝ち取った惣国も、守護に従うしかなくなり自治を放棄することになったのです。
こうしてみると、山城国一揆というのは、よくイメージされるような「農民による武力蜂起」ではなく、地方の住民が平和的な交渉で武士から自治を勝ち取った、とても画期的な出来事だったと分かります。
これによって、権力者からの収奪をよしとせず、自治体の住民だけでルールを決めて運用していくという仕組みができあがったのです。ある意味で理想的なやり方だと言えるでしょう。
しかし一方で、権力者による統治がないとこうした自治は長く続かないという実例でもあり、「自治」の難しさを示しているとも言えます。
参考資料
『オールカラー図解 流れがわかる戦国史』かみゆ歴史編集部・2022年
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