驚愕の108歳
徳川家康のブレーンと言われた人物で、有名な天海(てんかい)という僧侶がいます。彼は家康の代から、三代にわたって徳川幕府の将軍に側近として仕えました。
彼の生まれは会津で、現在の福島県です。出家したのは11歳のときで、比叡山で14歳のときから天台宗の教義を学び、その教義を修めました。
家康の「知恵袋」「懐刀」であり、徳川時代の統治体制の構築は彼なくしてはありえなかったと言われています。
また天海僧正は聡明なだけではなく、非常に頑丈で健康的でもありました。彼の頭脳は、その肉体によって支えられていたと言っても過言ではないでしょう。
彼の健康長寿ぶりは、30歳が平均寿命とされた江戸時代の初期に、なんと108歳まで生きたことからもうかがえます。
そんな彼の健康のための極意は、何だったのでしょうか。
オナラも大切!?
有名なエピソードとして、徳川家康が天海に長生きの秘訣を尋ねたときのものがあります。彼はこう答えました。「長命は、粗食(そじき)、正直、日湯(ひゆ)、陀羅尼(だらに)、折々ご下風(かふう) 遊ばざるべし」。
現代風に言えば、「長生きの秘訣は、粗食を心がけ、正直に生活し、きちんと風呂に入り、読経のときのような呼吸につとめ、たまにオナラをしてリラックスするべし」ということです。
特に、リラックスすることの大切さと問いている点は、かなり現代的と言えるでしょう。
また、健康法の説明で、よりによって「たまにオナラ(下風)をしなさい」と答えた人は、古今東西でもこの人だけではないでしょうか? 確かに緊張するとオナラも出せませんからね。
戦国時代が終わったとはいえ、天下統一はまだなされたばかり。人々がいかに常日頃から緊張状態におかれていたかが伺えるようです。
さらに、ここで注目したいのは、長生きのための第一の秘訣に粗食(そしょく・そじき)を挙げていることです。