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「鎌倉殿の13人」ついに頼家の死、朝雅の活躍、実朝の花嫁選び…第33回放送「修善寺」予習

「鎌倉殿の13人」ついに頼家の死、朝雅の活躍、実朝の花嫁選び…第33回放送「修善寺」予習

実朝の花嫁選び

さて、政範が京都まで迎えに行った御台所候補・坊門信清の娘ですが、最初から彼女が選ばれた訳ではありません。

最初は元久元年(1204年)8月4日、宿老たちは実朝の正室に源氏の門葉・足利義兼(あしかが よしかね。上総前司)の娘をと考えていました。

しかし、実朝は気に入らなかったようで提案を却下。すでに京都へ(公家の娘を迎えたい、と)打診しており、果たして彼女が選ばれたのです。

彼女は坊門姫(ぼうもんひめ。実名不詳)、当時12歳の少女でした。一説には坊門信子(のぶこ)と呼ばれますが、史料には裏付けがなく『尊卑分脈』に記載されている坊門信清の妹(彼女にとっては叔母)・信子と混同されたと言われます。

鎌倉へ嫁いできた彼女は実朝と夫婦円満ながら子はできず、やがて実朝が暗殺されると出家して本覚尼(ほんがくに。通称:西八条禅尼)と号し、その菩提を弔いました。

ただし京都に帰っており、後に兄の坊門忠信(ただのぶ)・坊門忠清(ただきよ)が承久の乱で鎌倉幕府に敵対した際、その助命嘆願を行なっています(お陰で死罪を赦免)。

それは少し先の事とて、大河ドラマではおままごとみたいな夫婦が画面を彩ってくれることでしょう。それが視聴者にとって、ひとときの癒しとなればいいのですが……。

終わりに

前回の予告編で何か仮面が登場しましたが、あれは修禅寺に伝わる頼家の仮面と思われます。

当寺でもその詳細は明らかにされておらず、岡本綺堂が新歌舞伎「修禅寺物語」を書くキッカケになったとか。その禍々しいデザインは、頼家の悲しい末路を予感させます。

そして前回、一幡(演:相澤壮太)を前に仏心が芽生えてしまった善児(演:梶原善)。悪役がにわかに好感度を高めると、間もなく死が訪れる本作の法則に倣えば、彼も年貢の納め時が来たのでしょう。

サブタイトルの「修善寺(しゅぜんじ)」は頼家最期の地名であると共に、「終(了)善児」を意味しているのではと予感します。

予告編に出てきた義時の亡き兄・北条宗時(演:片岡愛之助)の遺品を見た義時がすべてを察し(あるいはかねて承知の上でわざとらしく善児に見せつけ)、トウ(演:山本千尋)に命じて善児を粛清させるのでしょう。

ますますの鬱展開、視聴者に頼家ロス&善児ロスをもたらすことが予想されます。来週も、覚悟を決めて見届けたいところですね。

※参考文献:

  • 坂井孝一『鎌倉殿と執権北条氏 義時はいかに朝廷を乗り越えたか』NHK出版新書、2021年9月
  • 安田元久『北条義時』吉川弘文館、1986年4月
 

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